だが、一般的な電子工学などを学んできた技術者や研究者の間では、まず電流があり、そこから磁場が生成されるというイメージを持つ人が多い。これはフレミングの法則だとか、電池につないだ豆電球が光るのは電流が流れるからなどと、電流主体での説明/イメージがなされるからだと思う。
よく、LSIの動作の研究には、正孔や電子が素子にかかる電場で加速され電流が流れるという話がある。これはここに現れる電場が非常に強いからだ。数Vの電圧でもそれがサブミクロンの間隙にかかればすぐにMV/mになってしまう。だから加速された電子などがあり、それが電流となり、そして次に磁場が生成される。
問題となるのは、電子機器の基板の設計の場合だ。民生機器の場合、電磁的なノイズを低く設定する必要があり、基板からの不必要な電磁波放射を低くしなければならない。
以前は低い周波数で動作する機械ばかりだったので、定常状態での電流と磁場との関係での理解で問題なかった。昨今では動作クロックも高速になり、最早、定常状態とは言えない。こんな中で、電流に着目してからそこからの磁場という理解は真逆であり、解決の糸口は見つからず、混乱に陥るばかりだ。実際、GPS機能やカメラやら多機能になった携帯の初期では誤動作やノイズに悩まされ続けた。現在はモジュールかによって落ち着いてきているようだが、それはLSI屋さんの努力の賜物で、ボード屋さんの力とは言えない。
よく子供たちに使う、電圧と坂道の話は、さも電圧で加速された電流が電線を通って、電球を光らせるかのような誤解を生むばかりなのでやめてほしいものだ。
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