米国ではクレイがDARPAから25,000万ドルで同様のヘテロプロセッサのシステムを受注していて2010年納入となっている.他にもIBMのBlue Gene/Qが控えている.これらのシステムで10PFlops前後の性能を達成する見込みだ.
元々の日本の目標ではクレイと同様に,いろいろなプロセッサをアプリケーションに最適に利用できるということを売りにしていた.確かに場の微分方程式を解くシミュレーションとか,信号処理にはベクトルアレイ式(NEC, Cray, 日立)が適しているし,遠隔作用のシミュレーションなどでは,多数のスカラプロセッサで高速に計算できる.
このプロジェクトからNECと日立が撤退してベクトルプロセッサがなくなると,スカラプロセッサの技術,高密度CPU実装,パッケージング,ボードへの実装技術,ことごとく劣る日本が,米国,特にこれらの技術で抜きん出ているIBMに勝るシステムを作り上げる事ははなはだ疑問だ.
ただ日本と米国と異なる点は,日本がFORTRAN,米国がC++文化となっていてアプリケーションレベルで全く異なるという点だ.この点でお互い差別化が可能かもしれない.しかしながらFORTRANに対応するのと,C++に対応させるのとでは遥かに後者の方がむずかしい.ポインタ演算が多数出てくる後者では,ハードウェアの対応が不可欠だ.歴史的にCrayのシステムと日本のシステムとでC++を走らせると圧倒的にCrayの方が速かった.
日本人としてはどうにかがんばって欲しいが,道は険しい.でも速いシステムが人類に与えられれば恩恵も人類にかえってくる,と考えるのは楽観すぎるか.米国のスパコンアプリのCPU利用時間の多くは原子爆弾のシミュレーションだ等言う話もあるし...
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